ほぐす、伸ばす、使う、強くする、合わせる、維持する


自己紹介


こんにちわ、Calantスポーツリハビリ&パフォーマンスの爪川です


東京都文京区白山のパーソナルジムCalantで代表をしており、パーソナルトレーニング/スポーツリハビリ/脳震盪リハビリなどを提供しております


このブログを通して私の考えや役に立つ豆知識などを発信しておりますので、是非ご一読ください


ほぐす、伸ばす、使う、強くする、合わせる、維持する


これだけ聞くと「なんのこっちゃ」という感じですが、この6つは私がセッションを行う際に考える要素です


私はアスレティックトレーナー(ATC)というスポーツ医学の資格と、CSCSというトレーニングの資格を併せ持っていますが、現在までスポーツ選手が怪我をしてから競技復帰までのリハビリも多く携わってきました


そして上記の6つの言葉はこのリハビリの進め方から強く影響を受けています。リハビリといってもトレーニングにも通じる原理原則のようなものなので、それゆえ私が現在行っているセッションにもこの考え方が通じています


今回はこの6つの要素がどの様な意味なのかをまとめ、次回でこの6つの要素をどうセッションで実践しているかをまとめようと思います


文章中に筋肉をほぐすや伸ばすという言葉が多く出てきますが、言葉の定義としてほぐしたり伸ばしたりするのは主に筋肉やfasciaなどの軟部組織と呼ばれるものです。(fasicaは日本語では筋膜や筋筋膜と訳される場合が多いですがそれらは誤訳で、”立体網目状の構造体”という方がよりfasciaの意味としては正確です)


ただしここではわかりやすく、軟部組織とは言わずに筋肉という単語だけで説明しようと思います


ほぐす

これはその名の通りに硬い筋肉をほぐす事を意味します。硬い筋肉があれば、その部位の循環が悪くなり痛みを引き起こしたり、周辺の関節が動く範囲(可動域)の低下を招きます。


また、トレーニングでも硬く緊張している箇所にばかり力が入ってしまい思うように体を動かす事が出来ないと言う事も起きます


私は硬い筋肉を伸ばす・ストレッチする前にほぐすことを勧めています。


なぜ伸ばす前にほぐす必要があるかというと、硬い筋肉を伸ばそうとしても、硬い部分は伸びずに、その周りが伸びやすくなっている場合が多いからです


下の写真はゴムバンドを筋肉と見立てて、その現象の説明をしています(筋肉はゴムバンドと違うという反論もあると思いますが、あくまで比喩です)


硬さがない筋肉の通常の状態



硬さがない筋肉を伸ばした状態。伸びる力はゴム全体にほぼ均等にかかる





硬さがある筋肉の通常の状態





硬さがある筋肉を伸ばした状態。硬いところの周りにより伸びる力がかかっている





単純な比較ですが、このように硬い箇所があると伸ばそうとしてもその硬い箇所の周りばかりが伸びてしまいます。このままだと、トレーニングを行うにも関節が十分に動かなかったり、痛みが改善しない、怪我に繋がるなどが起きてしまいます


スポーツ選手でよく起こる肉離れは、硬い部分と通常部分の境界に起きる場合が多いです。


しかも一度起きると再発する可能性が高まってしまいますが、その要因の1つが一度肉離れをするとそこが硬くなり、筋肉のなかで硬い部分と通常の部分とか混在する様な状態になる事があります。


ですので、その2つの部分の境目に負荷が集中しやすくなります


特に肉離れなどの怪我をした事がなくても、日常生活で硬くなりやすいところは人それぞれありますから、怪我予防やセッションの質の向上の為にもまずは硬い筋肉をほぐす事から始めます


伸ばす

次にほぐした筋肉を伸ばす、つまりストレッチを行います


このストレッチの目的は関節の動く範囲(可動域)を大きくすることです


硬い筋肉を緩めることにより、上の写真の様により筋肉全体に均等にストレッチ(伸ばそうとする力)がかかります


ほぐすだけでも可動域は多少大きくなりますが、それでもほぐした後にストレッチを行う必要があります


その理由は、抽象的な表現ですが筋肉が硬くて関節が大きく動けていなかったときの筋肉や関節の状態を脳が記憶し、今まではそれ以上伸びないという信号を受け取っているからです


それゆえに、ほぐしてからストレッチをすることで、脳に「この硬かった部分はもっと伸びることが出来る」「この関節はもっと大きく動ける」という信号を送る必要があります

筋肉を伸ばすことでその信号を脳に送り、脳が新しい可動域や筋肉の状態を覚える手助けをします


可動域が狭いと特定の箇所(例えば膝や腰や首)に負担が集中してしまい、日常生活でも痛みや怪我につながり、トレーニングも質を高くして行う事が出来ません。例えば足首の可動域の制限は膝や腰の痛みに繋がり、トレーニングとしてスクワットをしても深くしゃがむ事が出来ない場合が多いです


ですので、ほぐした後に伸ばすことにより関節の可動域を広げて、怪我予防やトレーニングの質の向上、ひいてはパフォーマンスのアップに繋げます


使う

”使う”というのは、筋肉を”使う”という意味です。手術などをしない限り、意識的に「筋肉を使う!」と言うことをやった事がある方は少ないのではないでしょうか


当たり前ですが、自分の筋肉は自分で力を入れないと使えません


逆に”ほぐす”や”伸ばす”は、例えばマッサージ店などに行けばやってもらえますが、”使う”のは自分が行わなければいけません


ただし筋肉を”使う”といっても、「重いダンベルを持ってトレーニングだ!」という段階でもまだありません


この場合の”使う”とは、ある意味で筋肉を”起こす”、または筋肉に”力の入れ方を覚えさせる”というような意味合いが強いです


先程までで硬い筋肉をほぐして伸ばすことにより、関節の可動域を広げられたとします。しかしこの”新しく獲得した可動域”は、このままの状態では”使える可動域”ではありません

筋肉の特徴として縮むことにより力を発揮します


筋肉を伸ばすことにより広げた可動域ですが、その長くなった状態から筋肉を縮ませて力を発揮させる(筋肉を使う)ことを覚えなければ、せっかく可動域を獲得しても、それは使えない可動域(筋肉に力が入らない可動域)ということになってしまいます


筋肉に力が入らなければ、当然の如く自分でその”力が入らない可動域”はコントロール出来ません。これでは怪我予防やトレーニングの質の向上にも繋がりません


ですので、”筋肉の硬い部分をほぐし、筋肉を伸ばして可動域を広げ、その可動域を自分でコントロール出来る様にする為に、長くなった状態での筋肉にも力がはいるようにする”

上記の事が重要になってきます


強くする


次は筋肉を”強くする”段階です


硬い筋肉をほぐし、それを伸ばして可動域を獲得し、新しく獲得した可動域でも力を発揮できたとしても、もしその力が目標とするレベルには達していなければ、身体のバランスを失い怪我にも繋がります


目標とするレベルとは十人十色で、1人で歩くことが出来ない方であれば、1人で歩ける程度の筋力を。マラソン完走が目標の方はそれが出来るレベルの強さを。アスリートであれば、そのスポーツで求められる力のレベルまで強くする必要があります


また腕や足であれば、左右の筋力差が大きいのは怪我予防でもパフォーマンスアップでも基本的に望ましいことではありません


この”強くする”というのは、ただスクワットなど他の多くの人がやっている種目をやればいいわけでは当然ありません


トレーニングでもリハビリでも、スタートの場所もゴールの場所も人それぞれ全く違うので、その人その人で必要な事、やるべき事は変わってきます


ただ、硬い筋肉をほぐす事から始めてからこの段階まで来たのであれば、どのようなトレーニングが必要か、どこをどのように強くするべきなのか、というのは自ずと決まってきます


合わせる


次は”合わせる”を行います


この”合わせる”の意味は、目標とする動き(例えば歩くことやスポーツの動作)に強くした筋肉を合わせる、強くした筋肉を身体の動きに合わせると言う様な意味です


正確には筋肉を”使う”や”強くする”の段階である程度は目標とする動きに同時進行的に合わせ始めているのですが、ここではわかりやすく”強くする”の後に”合わせる”としています


筋肉を強くして必要なレベルまで強くしたとしても、その筋肉だけで身体が動いているわけではありません


例えば歩く時に前ももの筋肉は体重を支えるのに必要ですが、前ももは地面に足が着いた瞬間に力が自動的に入らなければいけなかったり、前ももだけでなく裏ももの筋肉も同時に力を発揮しなければいけないなど、到底1つの筋肉を鍛えたからといって歩く事が自動的に可能になるわけではありません


また、スポーツ選手であれば、スポーツの動きを良くするためのトレーニングをしなければいけません。筋トレばかりし過ぎて筋肉は強くなったけど、スポーツの動きが悪くなるというのは少し前はよくある話でした


これは筋トレの目的がスポーツの動きの向上ではなく、筋トレ自体が目的になってしまうと起こり得ます。(もちろん筋トレは絶対的に必要ですが、それはあくまでスポーツパフォーマンス向上の為の要素の1つであって目的ではないです)


維持する


そして最後に”維持する”が重要になってきます


硬い筋肉をほぐして伸ばし、使える可動域を獲得し、強くして目標の動きに合わせたとしても、日々のケアや質の高いトレーニングをしなければ日常生活の中でまた硬い筋肉や可動域の制限などが起きてしまいます


それらが起きない様に、身体がよい状態を”維持”する為には、ご自身の生活の中で硬くなりやすい筋肉を理解した上でのケアやトレーニングが重要になります


例えば猫背になりやすい人は、胸や首の前側が硬くなりやすく、肩甲骨が動きにくくなります。その様な方はパーソナルセッションでは肩甲骨を大きく使う様なトレーニングをしたり、胸の前側が伸びるようなエクササイズを行います


さらにより良いのは、ご自身で身体の状態をチェックし、硬い箇所や動きの悪い箇所をほぐしたり、力の入りにくい場所を見つけて改善したり、慢性的に弱くなりやすい場所を強くしたりしていくことです


「自分自身の身体のどこが硬いかわからない」、「自分の身体の状態はチェック出来ない」

という風に思われるかもしれませんが、この”ほぐす”から始まり”合わせる”まで来れば、ご自身の体への理解も深まっており、多少なりともご自身の身体の変化や違いを感じる事が出来る様になっています


まとめ

今回は私がセッションを組む際に考える6つの要素である、”ほぐす、伸ばす、使う、強くする、合わせる、維持する”をご紹介しました


かなり単純な表現となった場所は多くありますが、わかりやすさを優先してみました


次回はこの6つの要素をどうセッションに組むか、どのような注意点があるかをまとめたいと思います


10回の閲覧0件のコメント

最新記事

すべて表示