スクワットやしゃがんだ時の膝の痛み パート6 前ももの筋肉の機能低下

自己紹介
こんにちわ、Calantスポーツリハビリ&パフォーマンスの爪川です
私は東京都文京区白山のパーソナルジムCalantで代表をしており、一般の方からアスリートまでのパーソナルトレーニング/スポーツリハビリ/脳震盪リハビリを行っております
このブログを通して私の考えや役に立つ豆知識などを発信しておりますので、是非ご一読ください
前回のまとめ
前回と前々回は連載企画とは別の記事を投稿していましたが、今日から連載を再開したいと思います!
前回の記事ではスクワットやしゃがんだ時の膝の痛みの原因の中から、「膝のお皿(膝蓋骨)の動きの低下」が原因の膝の痛みについて、その詳細やチェック方法、改善方法をご紹介しました
今回は「前ももの筋肉の機能低下」による膝の痛みについて書いていこうと思います
ちなみにこの記事は少し前にまとめた「膝の痛みと内側広筋」、「膝の痛み、内側広筋を起こす!」とかぶる部分がありますので、そちらも合わせてご覧ください
スクワットやしゃがんだ時の膝の痛み パート6
前ももの筋肉の機能低下
目次
1 前ももの筋肉の機能低下とは?
2 前ももの筋肉の機能のチェック方法
3 前ももの筋肉の機能の改善方法
4 改善方法を試して効果があったかのチェック方法
1 前ももの筋肉の機能低下とは?
前ももには主に以下の4つの筋肉があります
外側の筋肉(外側広筋:がいそくこうきん)
真ん中の浅い筋肉(大腿直筋:だいたいちょっきん)
真ん中の深い筋肉(中間広筋:ちゅうかんこうきん)
内側の筋肉(内側広筋:ないそくこうきん)
この4つの筋肉の中で膝の痛みに一番よく関わってくるのが、内側の筋肉である内側広筋です
下の写真は右足の前ももを正面から見ていますが、青い丸で囲まれているところが内側広筋です
赤い矢印が膝のお皿を示していますので、右足の場合では内側広筋は膝のお皿の斜め上の内側にあるようなイメージです

前ももの筋肉はどれも膝を伸ばす働きをします
そしてこの膝を伸ばす働きは歩く際に非常に重要になってきます
歩行の時に足が地面に着いて膝が若干曲がる時、前ももの筋肉は”膝が曲がりすぎない”様にコントロールします
足が着いた際の地面からの衝撃や体重を足に載せる時に、膝を曲げようとする力がかかります
ですので、もし前ももの筋肉がうまく働いていなければ、この膝を曲げようとする力に対抗できずに膝が曲がってしまい、膝カックンのような状態になってしまいます
そうならない為にも、この膝を曲げようとする力に対抗して前ももの筋肉は膝を伸ばす力を生み出します
この膝を伸ばす力、ここでは膝を安定させる力という風に言いますが、この膝を安定させる力に大きく関わるのが内側広筋です
この内側広筋の機能が落ちてしまうと膝をうまく安定出来ずに痛みに繋がる場合があります
ここで言う筋肉の機能とは、筋肉の強さであったり、力の入りやすさ、力が入る速さなどを指します
そしてこの内側広筋の特徴として、膝に痛みや腫れなどがあった場合、4つの筋肉の中で一番早く機能が落ちてしまいます
ですので冒頭の「前ももの筋肉の機能低下」とは「内側広筋が弱くなる、力が入りにくくなる、力が入るタイミングが遅い等と言い換えることが出来ます
※注意:内側広筋だけでなく中間広筋という前ももの筋肉も機能低下を起こしやすいですが、個人的に内側広筋の機能低下の方が頻度が多い気がしますので、今回は内側広筋に絞った話を書いています
では、なぜ内側広筋の機能低下が起きるとスクワットやしゃがむ時の膝の痛みに繋がるのでしょうか?
これは先ほどもお伝えした様に「膝の安定性が低下するから」です
なんだがあっけない結論ですが、内側広筋の機能低下が起きるとこの膝の安定性が顕著に低下します
スクワットやしゃがむ時に特に意識をしなくても、膝は変な方向に動かない様に(例えばすごいガニ股や内股にならない様に)無意識のうちにコントロールされています
内側広筋の機能低下ではこのコントロールが効かなくなって膝が小刻みにブルブル震えたり、前ももの外側の筋肉などの他の筋肉を使って膝を安定させようとします
膝が震えること自体も痛みを引き起こすこともありますし、他の筋肉が庇ってしまっても身体のバランスが崩れて痛みに繋がる場合もあります
2 前ももの筋肉の機能のチェック方法
では、そんな大事な内側広筋
その筋肉がちゃんと機能しているのかをどうチェックすればいいのでしょうか?
チェック項目は3つ
1 左右の内側広筋の大きさが同じか(大きさのチェック)
2 前ももに力をれたら左右の内側広筋の硬さは同じか(硬さのチェック)
3 左右の内側広筋に力を入れる感覚があるか(力の入る感覚のチェック)
上記の順でチェックしてきます
まず1の大きさのチェックです
1 椅子に座って両膝を伸ばす

2 次に内側広筋(膝の内側辺り)を触って大きさを比較してみる

3 もし左右で明らかに大きさの違いがあれば(自覚出来るほどの大きさの違い)、内側広筋の機能低下の可能性があります
次に2の硬さのチェックです
1 先ほどの様に膝を伸ばして椅子に座ります
2 前ももに力を入れて内側広筋を押したり触ったりつついたりします

3 もし左右で明らかに硬さの違いがあれば(自覚出来るほどの硬さの違い)、内側広筋の機能低下の可能性があります
そして最後に力を入れる感覚です
1 先ほどの様に膝を伸ばして椅子に座ります
2 前ももに力を入れます
3 この時に出来るだけ内側広筋に力を入れるイメージで行います

4 この時に内側広筋に力を入れる感覚をチェックします。このチェックの際は他のことも合わせてチェックします。例えば
・内側広筋にそもそも力が入るか?
・前もも全体に力を入れているだけしか感じられないか?
・内側広筋に力を入れようとしたら、他の部分(例えば外側の前もも)のほうが疲れたりするか?
この大きさ、硬さ、力の入れる感覚をチェックして見てください
左右で自覚出来るほど大きさや硬さが違う
膝が痛い方は力を入れる感じがわからない
このような場合は内側広筋の機能低下が膝の痛みに繋がっている可能性があります
3 前ももの筋肉の機能の改善方法
では、2のチェックで内側広筋の機能低下があった場合はどうすればいいのでしょうか?
2で行ったチェック項目の結果にもよりますが、まず一番最初で一番大事なことが「内側広筋に力を入れる練習をする」です
これは「力を入れる感覚」を獲得することにも役立ちますし、大きさや硬さの違いがあった場合にも役立ちます
そしてやり方は非常にシンプルです
「先ほどのように膝を伸ばして椅子に座り、内側広筋に力を入れるように何回も試みる」
これを繰り返します
これだけを繰り返しただけでも効果が出る場合もありますし、少し工夫をしないとなかなか内側広筋に力を入れる感覚を得るのが難しい場合もあります
この場合の工夫は例えば足首を内側に曲げてみる、内ももをストレッチしながらやってみる、足首を手前に反らしながらやってみる、内側広筋を叩きながらやってみる、などなどあります
YouTube動画に内側広筋の力の入れ方も含めた解説動画を載せていますので、そちらも合わせてご覧ください(動画はこちらをクリック)
4 改善方法を試して効果があったかのチェック方法
内側広筋に力を入れる感覚が得られたら、左右の内側広筋で大きさや硬さの違いを再チェックしてみます
正しく内側広筋に力を入れられていれば、大きさや硬さの左右差は多少でも改善されているはずです
それが確認できたら次はスクワットやしゃがむ動作、階段などを登ってみましょう
もしこれで痛みが改善していれば、内側広筋の機能低下がスクワットやしゃがむ動作での痛みに繋がっていたと言えます
まとめ
今回は前ももの筋肉、特に内側広筋の機能低下が膝の痛みに繋がる場合についてまとめました
次回はパート6、股関節の動きの低下によって膝の痛みに繋がる場合をまとめたいと思います
本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました