
スポーツ関連脳震盪:遅発性の症状について

自己紹介
こんにちわ、Calantスポーツリハビリ&パフォーマンスの爪川慶彦です
私は東京都文京区白山のパーソナルジムCalantで一般の方からアスリートまでのパーソナルトレーニング/スポーツリハビリ/脳震盪リハビリを行っております
このブログを通して私の考えや役に立つ豆知識などを発信しておりますので、是非ご一読ください
毎週日曜日はスポーツ中の脳震盪についての記事を書いています
スポーツ関連脳震盪:遅発性の症状について
スポーツ中の脳震盪は頭や身体への衝撃が脳に伝わることによって起こりますが、その症状は人によって異なり、その種類も様々なものがあります
頭痛、吐き気、めまい、嘔吐、意識消失、フラフラする、光や音に過敏になる、集中できない、首の痛み、頭の圧迫感、何かおかしい等、、、
そしてこの症状が起こるタイミングも個人差があります
例えば脳震盪を受傷した直後から頭痛があったり、受傷日は頭痛があったけど数日後からはめまいになってきたりなどです
そして脳震盪を受傷したと思われるタイミングよりも、時間が経ってから症状が起きる場合もあります
これをDelayed Symptom Onset(DSO:遅発性症状)と表現します
スポーツの試合や練習中に脳震盪が疑われた場合はすぐさま試合や練習から抜ける事が必須ですが、このDSOがある場合はその判断が遅れる可能性があります
それゆえに「脳震盪の症状が遅れて起きる場合もある」と言うことを認知しておくことも大事ですし、実際にはどの程度の患者でDSOが起きているのかを知っておくことも重要です
そして今回ご紹介する文献は未成年のスポーツ関連脳震盪受傷者を対象として、DSOがどの程度の割合で起きていたのかなどを調べています

実験方法
・対象はカナダの脳震盪専門のクリニックを受診した152名(20歳未満)のスポーツ関連脳震盪を受傷した選手
・診察や検査の後に、研究者らが受傷のタイミングや症状が発生したタイミングなどに関してのインタビューを選手に実施
・DSOは「受傷したと思われるタイミングより15分以上経過してから起きた症状」と定義
結果
・最終的に144名(平均年齢:14.6歳)の選手を対象として研究が行われた
・144名中、男子88名、女子56名
・144名中、DSOと判断されたのは24名(全体の16.7%)
・24名の内訳は男子15名、女子9名
・DSOと判断された選手とそうでないでない選手の間での統計的に有意な差は、受傷したと思われるタイミングから実際に練習や試合から離脱するまで時間
・DSOの選手の中で受傷したと思われるタイミングで抜けた選手は7/24名(29.2%)、DSOでない選手で受傷したと思われるタイミング後にすぐ抜けた選手は86/120名(71.6%)
・DSOと判断された選手とそうでない選手の間で症状の強さや数、復帰までの期間、男女差などで統計的に有意な差は確認されなかった
まとめ
今回ご紹介した研究では20歳未満のスポーツ関連脳震盪を受傷した選手の16.7%は遅発性に症状が起きていたと報告しています
いわゆるBig Hitや激しいタックルなどの後に一見脳震盪ではなさそうでも、15分以上経過すると症状が出てくる可能性があるということは、特に未成年に関しては怪しければout、もしくは一旦競技をやめさせて様子を見ると言う選択が大切になるかと思います
本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました
参照文献