パラスポーツ関連の脳震盪:ポジションステートメント


自己紹介


こんにちわ、Calantスポーツリハビリ&パフォーマンスの爪川慶彦です


私は東京都文京区白山のパーソナルジムCalantで一般の方からアスリートまでのパーソナルトレーニング/スポーツリハビリ/脳震盪リハビリを行っております


このブログを通して私の考えや役に立つ豆知識などを発信しておりますので、是非ご一読ください


毎週日曜日はスポーツ中の脳震盪についての記事を書いています


この記事は以前にnoteで書いたものこちらのブログに移しています


パラスポーツ関連の脳震盪:ポジションステートメント


スポーツに怪我は付き物、それはパラスポーツにも言えることです


そしてスポーツ関連の脳震盪もパラスポーツでは発生します


今回はConcussion in Para Sport Groupという委員会が発表した公式声明文を簡潔にまとめたいと思います(以下の写真)



健常者を対象としたスポーツ関連の脳震盪に関しての声明は今までも発表されていますが、パラスポーツを対象としたものがこれが初めてとなります


臨床評価


・SCAT5だけで脳震盪の有無の判断はすべきでない

・パラアスリートに関しては脳震盪の症状をベースラインと正確に比較するために、定期的な運動前のチェック(preparticiption examination)が非常に重要になる

・SCAT5の実施をパラアスリートに義務付けることは現時点では難しく(有効性不足などのため)、それにより通常時のパラアスリートの認知機能などをより詳細に知っておく必要がある

・パラアスリートに脳震盪の疑いがあればすぐに試合や練習から抜け、医療評価が済むまでスポーツに戻るべきではない

・SCAT5は健常者を前提に作成されているため、パラアスリートは見る、読む、聞くなどに元々制限がある場合などを考慮しなければならない


段階的競技復帰プロトコル

・脳震盪後は24−48時間の身体的・認知的休息が必要である。ただし車椅子ユーザーは移動の際にもエネルギーを使用するので、そのことによる症状の悪化があれば移動の手助けをするなどの工夫が必要

・段階的に競技に復帰していく考え方は健常者と同じ

・ただしパラアスリート専用のプロトコルは今はまだない

・有酸素運動は自転車ではなくアームエルゴメーターを使うことや、バランス能力は障害によってテスト方法を調整する必要がある

・T6以上での脊髄損傷のあるパラアスリートでは心肺機能や自律神経への影響によって最大心拍数が制限されるので、心拍数による運動強度の管理は現実的ではない

・パラアスリートの脳震盪からのスポーツ復帰はケース毎に判断するのが非常に重要


予防


・パラアスリートの脳震盪予防は3Eを基本として行われるべきである。3EとはEducation(教育)、Enforcenemt(施行)、Engineering(エンジニアリング)

・教育ではパラアスリート自身、臨床医、技術スタッフなどへの脳震盪の教育が重要である。パラアスリートは健常者よりも専門家へのアクセスが制限されていることなどから、脳震盪に気付いたり報告するのが遅れる場合がある

・施行ではパラアスリートがより安全に競技が行えるようなルール変更などが必要である。例えば試合中に脳震盪疑いのパラアスリートがいた場合、交代枠とは別にその選手を試合から一時的に退場させて脳震盪の評価をするルールの施行など

・エンジニアリングでは防具などの開発を意味している。例えばブラインドサッカーなどではソフトボール用のヘルメットや眼の保護用のゴーグルを装着するなど防具の着用が始まっている


まとめ


アスリートの脳震盪に関しては多くの研究や声明が発表されており、その評価方法やリハビリ方法などもどんどん進んでいるように思います


ただ、この論文にもあるようにパラアスリートに対しての脳震盪対応はまだ理想とのギャップが大きく、自分もまだまだ知らないことが多かったのが印象です


下の参照文献には、より具体的な競技復帰プロトコルの例なども掲載されているので、是非ご覧ください


参照文献


bjsports-2020-103696.full
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