前十字靭帯断裂後のガイド BJSMより ②

自己紹介
こんにちわ、Calantスポーツリハビリ&パフォーマンスの爪川慶彦です
私は東京都文京区白山のパーソナルジムCalantで一般の方からアスリートまでのパーソナルトレーニング/スポーツリハビリ/脳振盪リハビリを行っております
このブログを通して私の考えや役に立つ豆知識などを発信しておりますので、是非ご一読ください
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前十字靭帯断裂後のガイド BJSMより ②
前回の記事ではBJSMに掲載されていた「Your ACL Journey Guide: Treatment Decision」の前半部分をご紹介しました
前半部分では「前十字靭帯損傷直後から手術をするかどうかの決断まで」についてまとめらていました
今回ご紹介する後半部分では「手術をするかどうか決断をしてから競技復帰するまで」をまとめたいと思います

手術をするかどうか決断をしてから競技復帰するまで
リハビリに集中する
手術をしてもしなくとも、前十字靭帯損傷後に質の高いリハビリを行うことは重要です
膝の機能の回復、更なる怪我の予防、長期的な視点での生活の質の維持にはリハビリは欠かせません
リハビリは個人別に作成され、基準や指標をクリアしたら次の段階に上がるような(時間や時期で区切るのではなく)、"Criteria Based"なリハビリプログラムを行うべきです
リハビリの段階は初期、中期、後期の3つに大きく分けられます
それぞれの段階で行うエクササイズや向上すべき機能は以下になります
1 初期
・膝の可動域の改善(曲げ伸ばし)
・前ももの筋力強化
・手術した足に体重をかける(荷重)
・正常歩行
2 中期
・片足でのバランス能力向上
・スクワットやランジ、デッドリフトなどの実施による下半身の筋力強化
・片足スクワットなどによる片足の筋力の強化
・ランニング
3 後期
・適切な着地動作の練習
・方向転換動作の獲得
・俊敏性の向上
・反射的な動作の練習
・スポーツ特異的な動作への漸進的な復帰
最良の結果を得るためにはそれぞれの段階でリハビリに集中して熱心に取り組む必要があります
リハビリによって膝の機能や動作のパフォーマンスを高められた人ほど、再発率の低下や変形性関節症の発生率の低下に繋がっています
スポーツへの復帰時期
リハビリが後期になるにつれて、「いつスポーツ復帰しても大丈夫なのか?」という難しい判断をする必要が出てきます
ある研究によれば、前十字靭帯損傷後の56%の方は競技レベルまでの復帰を為し得ていないとの報告もあります(競技レベルとはプロや実業団など、スポーツを競い合うレベルで行うことを指します)
また他の研究では、前十字靭帯損傷から競技復帰をした選手の最大24%は膝を再受傷しているという報告もあります
ただしこの再受傷のリスクはスポーツ復帰の為のパフォーマンステストなどをクリアすることで大きく下げることも可能です
スポーツへの復帰可能性を最大限に高め、かつ再受傷のリスクを減らすために、以下の4つについて考慮すべきです
1 リハビリには集中して熱心に取り組み、可能であればリハビリは最新の知見に基づいたプログラムを提供してくれる適切な資格のある専門家によって行われるべきである
2 もし前十字靭帯の再建手術を行なったのであれば、スポーツ復帰するまでには9ヶ月は待つべきである。もし再建手術を行わなかったのであば、適切な復帰時期は現時点では不明である。ただし、より早期にスポーツ復帰出来る可能性もある
3 スポーツ復帰をする前にスポーツ特異的な動作をリハビリの一部として行うべきである。さらにホップテストのようなパフォーマンステストもスポーツ復帰の前にはクリアするべきである
4 実際にスポーツ復帰する前に、「選手自身」がスポーツ復帰することに対して自信があることが大切である。自信をつけるには時間と質の高いリハビリが大切であり、時にはスポーツ心理学者に手助けしてもらうのも有益である
前十字靭帯損傷の発生率を減らすには
前十字靭帯損傷の発生数はエクササイズプログラムによって減少させることが出来ます
エクササイズプログラムは例えばFIFA 11+、Netball KNEE Program, Prevent injury and Enhance Performance Program, ACTIVATE World Rugby programなどがあります
このようなエクササイズプログラムは他にも多くありますが、いくつかの大事なエクササイズの要素は筋力強化と身体を適切にコントロールする動作(着地動作や俊敏性など)です
また、このような予防プログラムは前十字靭帯損傷の再発を防ぐという意味でも重要ですし、まだ怪我をしていない選手が行うことも非常に重要です
ですので実際に予防プログラムを行う際、怪我のリスクを減らすことは誰にとっても有益なのでコーチやチームメイトも巻き込むことをお勧めます
まとめ
今回の記事は以上となります
前十字靭帯の損傷はスポーツ選手であれば選手生命に関わる大怪我です
一般の方でも変形性関節症などのリスクを高め、生活の質を落とすリスクにもなる大きな怪我です
医師やアスレティックトレーナー、理学療法士、治療家、ストレングスコーチなど多くの団体や機関が、「より良い手術方法は何か?」、「より良いリハビリ方法は何か?」「再発率、再発率をさらに下げるにはどうすればいいのか?」ということを試行錯誤しています
今回のBJSMの”Your ACL Journey Guide:Treatment Decision”は簡易的なものではありますが、大切なことは網羅されていたのではないでしょうか
この記事をより詳しくご覧になりたい方は下の参照資料より確認いただけます
本日も最後までお読み頂きましてありがとうございました
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