四足歩行と鎖骨と肩の痛み
更新日:2022年11月29日

自己紹介
こんにちわ、Calantスポーツリハビリ&パフォーマンスの爪川慶彦です
私は東京都文京区白山のパーソナルジムCalantで一般の方からアスリートまでのパーソナルトレーニング/スポーツリハビリ/脳震盪リハビリを行っております
このブログを通して私の考えや役に立つ豆知識などを発信しておりますので、是非ご一読ください
より専門的な内容やスポーツ中の脳震盪に関してのことはこちらのnoteにて記事を書いていますので、そちらもご覧ください
本日の記事はこちら↓
四足歩行と鎖骨と肩の痛み
皆さんは犬や猫などのペットを飼っていますか?
犬や猫は基本的に常に4本の足で歩きます
「人間がここまで進化した理由の1つは完全2足歩行が可能で両手で物を操れるようになったからだ!」という説もあるぐらい、人間以外の動物は4足歩行が基本です
4足歩行と2足歩行、それらの骨格を見ると明らかに違う点がいくつもあります
そのうちの1つが鎖骨です
人間の鎖骨は胸の骨(胸骨:きょうこつ)と肩甲骨(けんこうこつ)の間の骨で、ちょうど首の斜め下にあります。下の写真の赤い丸の部分です。

この鎖骨、実は犬や猫にはありません(猫には鎖骨の退化したものはあるそうですが)
なぜ犬や猫は鎖骨がないのでしょうか?
4足歩行の動物と人間の肩甲骨の位置を比べるとその理由がわかります
人間の肩甲骨は背中に張り付くようにして位置しています
ですが、4足動物の肩甲骨は背中よりも身体の外側に位置しています
下の写真は犬の骨格です。赤い丸に囲まれた骨が犬の肩甲骨です

この写真のように犬の肩甲骨は背中と言うよりも、身体の外側に位置しています
犬のような4足歩行の動物は肩甲骨が身体の外側にあった方が前足を前方に動かしやすく、さらに体重も支えやすいために肩甲骨はこの位置になっていると考えています
逆に人間の場合は、完全2足歩行となった為に両手で体重を支える必要がありません(もちろん両手で体重を支えることは出来ますが、常にそれを行う必要はありません)
それゆえに手を自在に使えます
ただ、2足歩行となっても肩甲骨の位置が4足歩行の動物のように身体の外側についていると、前に手を伸ばす(前ならえのよう姿勢)は出来ますが、横に手をあげたり、頭上に手を上げる、または後ろに手を伸ばすなどは行いにくいです
それゆえに進化の過程で肩甲骨が背中の方に移動し、手を大きく動かせるようになったと思います
この肩甲骨の位置と鎖骨の存在を考えると、人の身体にとって鎖骨とは肩甲骨が身体の外側に来ないようにする突っ張り棒のような役割があると考えています
つまり進化の過程で人の肩甲骨は背中に移動し、さらに鎖骨によって肩甲骨は4足動物のような身体の側面に移動しないようにある程度固定されている
上記のように考えられるのではないかと思います
では、ここでこの記事の題名の「四足歩行と鎖骨と肩の痛み」に戻りたいと思います
四足歩行と鎖骨は上記の説明の通りなのですが、これと「肩の痛み」は何が関係あるのでしょうか?
肩の痛みを訴える多くの方が(全ての方ではありません)、その痛みは肩甲骨の位置の悪さが1つの原因となっている場合が多いです
その肩甲骨の位置の悪さはいわゆる猫背のような姿勢です
この猫背のような姿勢は肩甲骨が背中よりも身体の側面や前側に位置しています
進化の過程で肩甲骨が背中に移動して手を横や上、後ろにも大きく動かせるようになりましたが、現代の生活スタイルやストレスなどによりその肩甲骨が身体の側面に戻っていってしまっているような状態です
ただし肩甲骨の位置が身体の側面に移動したとしても、手を大きく動かす必要はあります(例えば家事、洗濯、仕事などなど)
手を大きく動かすためには肩甲骨は背中側に位置している必要があり、肩甲骨が身体の側面にある場合は肩や他の部位に過剰な負担をかけながら手を大きく動かしている可能性があります
上記をまとめると以下になります
二足歩行で肩甲骨が背中側に位置し、手をほぼ360度大きく動かす事が可能となった
↓
現代社会の生活スタイルやストレスなどで、肩甲骨が背中ではなく身体の側面に位置しやすくなった(いわゆる猫背の姿勢)
↓
ただし、社会生活の中で手を大きく動かす必要性はあまり変わらない(仕事や家事など)
↓
肩甲骨が身体の側面に位置しているのは手を大きく動かすには不利な位置であり、その状態のままでいると手と肩甲骨の間にある肩(もしくは肘)に過剰な負担がかかる可能性がある
まとめ
今回は四足動物と人の身体の違い、特に鎖骨の存在とその役割、そして現代で多い肩の痛みに関してまとめてみました
あくまで私見なので「そんなの全然違う!」というご意見もあると思いますが、1つの案として「肩が痛い」と言う方は肩甲骨の位置を見てみるのもいいかと思います
本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました