痛みのケアからトレーニングまで

当店は痛みのケアから怪我のリハビリ、トレーニングまでを首尾一貫した考えのもとで行い、クライアント1人1人のお悩みを解決するサポートを致しております
痛みがあれば病院や整骨院で医師や治療家が 怪我や手術からのリハビリなら病院で理学療法士や作業療法士が トレーニングをするならジムでご自身かトレーナーが
多くの場合は上記のようにそれぞれ分けて対応します
ですが、当店ではこれを分けて考えずに、痛みのケア・怪我のリハビリ・トレーニングや運動指導までを1つの流れとして捉えています
もちろん当店の"Scope of Practice"(自分が担当できる範囲)の怪我や痛みに限られますが、多くのスポーツ障害・外傷、慢性痛、手術から生活やスポーツ復帰を目指すリハビリ、身体の機能低下による痛みなどは、上記のような痛みのケアからトレーニングまでを1つの流れとしてセッションを提供した方が時間はかかりますが、良い結果になると思っています
ですので、今回はなぜその様に痛みのケアからトレーニングまでを分けて考えずに、一連の流れとして提供した方が良いと私が思うのかをまとめました
ランナーの膝の痛みを例にしようと思います
お皿の下の膝蓋腱に痛みがあった場合、その膝蓋腱が痛みの原因なのでしょうか?
突飛な質問ですが、もしその膝蓋腱に炎症が起きていれば膝蓋腱が痛みの原因と言えるのかもしれません(原因の全てではありませんが)。痛み止めや炎症を抑える薬を飲めば、痛みは和らぐと思います
では、膝蓋腱に炎症がない場合はどうでしょうか
その場合は、どこか他の身体の部位が弱っていたり、うまく動かない、関節が硬い事などが痛みの原因で、膝蓋腱の痛みはそれらの”結果”の場合が多いです
英語でよく言われる文言ですが、”痛みがあればその加害者を探せ”、という表現があります
”被害者”=”痛みがある部位”なのでご自身ではすぐにわかります ただ、”加害者”=”痛みを引き起こしている部位”を探して対処するのは難しく、そこはプロの出番だと思います
膝蓋腱の場合では、炎症が起きていなければ痛みの加害者はほぼ間違いなく身体の他の部位だと考えられます
ですが炎症が起きていても、”膝蓋腱に負担が集中しやすい身体の状態だったので、膝蓋腱に過剰に負担がかかって炎症が起きた”とも考えられるので、”なぜ膝蓋腱に負担が集中してしまう身体の状態なのか”=”加害者”を探します (もちろん、今までランニングをされてない方が急にマラソンを走ったり、高校以来10年振りのバスケの試合をやってジャンプを何十回もやった場合は膝蓋腱に炎症が起きることもあり、その場合は”加害者”=”マラソンやバスケの試合”なので、対処は鎮痛薬などで十分かもしれません)
ですので膝蓋腱の痛みと言っても、それが原因なのか結果なのかで対処は変わってきます
対症療法と原因療法という言葉があります 対症療法は症状に対する治療(膝蓋腱の場合ではその痛みや炎症を抑える様な治療)
原因療法は症状の原因に対する治療(膝蓋腱の場合は、そこに負荷がかかり易くしている身体の他の部位への対応)
この2つの考え方どちらが良い悪いや、どちらか一方しか行わないという事はなく、その時の状況などで優先度は違ってきます
例えば、 「細かい事はいいからこの痛みをどうにかしてほしい。痛みでまともな生活が出来ない」「明後日の試合にはなんとしても出場したいから、この痛みを少しでも改善して欲しい」
この様な場合であれば痛み自体を下げる事が優先され、その為に時間と労力が注がれるべきです
ただ、最初の記述にある様なスポーツ障害・外傷、慢性痛、手術から生活やスポーツ復帰を目指すリハビリ、身体の機能低下による痛みなどは、痛みの原因を詳細に探り、そこに対処しないと怪我や症状の再発するリスクが高いです
ここで先ほどのランナーの膝蓋腱の痛みの例に戻しますが、もしこの方が「痛みをどうにかして欲しい」という事であれば、対症療法でいいかもしれません
ただ、「慢性的に痛い」、「治療したら改善するが、しばらくすると再発する」、「もう痛みを我慢して走りたくない」という場合では、その痛みの原因に対処する必要があります
そしてこの痛みの原因は身体の使い方に起因する場合が多く、これを修正するのに私はトレーニングが最適と考えています
トレーニングと言ってもただ筋肉を強くしたり大きくしたりする為に行う訳ではありません
まずは身体を効率良く正しく使い、ご自身の身体をうまくコントロール出来る様にします。その後に筋力強化のために重い負荷をかけたり、逆に軽い負荷で不安定な状態でトレーニングを行うことにより、より色んな状況でも身体をうまくコントロールする能力を獲得します
身体をうまくコントロールするには、「この様に筋肉に力を入れたらこの関節がこう動く、その時の感覚はこんな感じ」という様なご自身の身体の感覚を養う必要があります
そしてこの感覚を養うために、1つ1つの関節が十分に動く・動かせる必要があります
関節が十分に動く・動かせる為には、硬い筋肉をほぐしたり、弱い筋肉を鍛える必要があります
硬い筋肉をほぐす、弱い筋肉を鍛えるには痛みを改善しなければいけません(痛みがあると身体は固まって痛い箇所を守ろうとします)
この様に痛みのケアからトレーニングまでを段階ごとで考えると、「この段階は病院で」「この段階はジムで」と分けるよりも、それを1つの流れとして考え、分けずにセッションを提供した方が最終的なクライアントの目標が達成しやすいと思います
ランナーの膝蓋腱の痛みの例で言えば、もしその方の希望が「痛みなく走れる様になりたい」であれば、
→走る際に膝蓋腱に集中している負荷を分散できる走り方をする →その様は走り方が出来る身体作りをする →その身体作りが出来る様に身体や筋肉を自分でコントロールする感覚を養う →その感覚を養うためにまずは1つ1つの関節が十分に動く・動かせる様にする →1つ1つの関節が十分に動く為に硬い筋肉などを特定し改善する →硬い筋肉をほぐす為に、まず痛みを改善する(痛みがあると身体は固まって痛い箇所を守ろうとする)
痛みだけとっても再発のリスクはありますし、身体をうまくコントロール出来る様になってもランニングの負荷に耐えられる筋力自体は必要ですし、かと言って闇雲に筋トレばかりしてもランニングに適したトレーニングではなければ身体のバランスを崩してしまいます
「痛みなく走れる様になりたい」という希望であれば、それら全てが必要になってきます
では、痛みは病院や接骨院で治療してもらい、トレーニングはジムで行う、というふうに分けて行った場合もクライアントの希望は叶うのでしょうか?
私はその確率は低いのではないかと思っています
というのは、上記の様に分けて行った場合、かなり綿密に意思疎通を行わなければ痛みの治療とトレーニングの間にギャップが生じるからです
この場合のギャップとは、治療とトレーニングで必要だと思う事が違ってくる事です
例えば治療では膝の痛みの改善の為に、そこに電気を当てながら股関節をほぐす トレーニングではお尻の筋肉をつける為にスクワットを行う
この治療とトレーニングで行う両方とも、クライアントの「痛みなく走れる様になりたい」という目標を達成する為にはどこかのタイミングで必要な事だとは思います
ですが、この例の様に分けた場合、股関節をほぐしたからと言って股関節がうまく使える様になる訳でもないですし、スクワットをしてお尻の筋肉を付けたとしてもランニングでうまくその筋肉が働いてくれる訳ではないです
股関節をほぐしたら、それをご自身で動かせる様にしなければいけませんし、動かせる様になれば、そこを鍛えて強化しなければなりません。鍛えるのも最初は自分の体重でいいかもしれませんが、ランニングの負荷に耐えるにはバーベルなどで負荷を高くする必要もあります。そしてランニングはある意味片足でのジャンプの連続ですから、ジャンプのトレーニングも必要になってきます
この例の様に、治療とトレーニングを分けて考えるとそこにギャップが生じ、例えそれが小さなギャップだとしても、クライアントの目標が達成出来ない可能性が高くなります
この場合、一番不利益を被るのはクライアントです
このギャップで目標が達成できずに、「慢性痛がよくならない」「痛みでスポーツが楽しめない」という様な方は多いのではないかと思っています
ですので痛みのケアからトレーニングまで、原因を特定しそれに対処しながらギャップを生まずに1つの流れとしてクライアントの目標達成までをサポートする
その様な考えのもとでセッションを提供しております