Yoshihiko Tsumekawa

2021年7月2日5 分

仕事中のストレッチでメンタルもスッキリ!?

自己紹介

こんにちわ、Calantスポーツリハビリ&パフォーマンスの爪川慶彦です

私は東京都文京区白山のパーソナルジムCalantで一般の方からアスリートまでのパーソナルトレーニング/スポーツリハビリ/脳振盪リハビリを行っております
 

このブログを通して私の考えや役に立つ豆知識などを発信しておりますので、是非ご一読ください

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仕事中のストレッチでメンタルもスッキリ!?

ずっと座りっぱなしの仕事中に腰や肩の痛み、目の疲れなどを感じる方も多いかと思います

ドラッグストアに行けばそのような症状の為の薬や湿布などが多く用意されているように、ある種の現代病なのかもしれません

座りっぱなし、または立ちっぱなしなど「動かない」ことは人間にとっては非常に害をもたらします(もちろん動きすぎもよくありませんが)

ですので、欧米の会社などは職場内に従業員が使用できるジムを併設したり、業務の合間に運動やストレッチのプログラムを行う事を推奨したりするところもあります

このような「従業員の健康を守る取り組み」の成果は研究などでも明らかにされており、痛みの改善や身体の機能改善などが報告されています

今回の記事ではそのような研究の1つとして、ドイツで行われた業務中の10分間のストレッチプログラムの成果をまとめたいと思います

結論から先に言ってしまうと、この10分間のストレッチプログラムを週に2回、12週間継続することにより従業員の身体面のみならずメンタル面の健康も改善したと報告しています

これが今回ご紹介する文献です。2020年発表なので古いものでもありません

この研究でのストレッチプログラムの実施方法は以下の通りです

・ドイツの自動車産業の会社のオフィスワーカー、合計313名が自発的にこの研究に参加

・313名をストレッチプログラムを行うグループと行わないグループに振り分ける

・ストレッチグループ(ストレッチプログラムを行うグループ)は216名が参加

・比較対象グループ(ストレッチプログラムを行わないグループ)は97名が参加

・ストレッチグループは約10分間のストレッチを週に2回、12週間継続する

・ストレッチを実施するタイミングは業務時間中の予め決められた時間で参加

・実施するストレッチは以下の写真のような器具を用いて5つのポーズをそれぞれ20秒間キープし、それを2回ずつ行う

・ストレッチグループは出張や休暇、病欠などでストレッチが行えない場合も想定し、全24回(週に2回の12週間)のストレッチのうち22回実施出来れば可とした。また上記の理由などで連続2週間までであればストレッチプログラムの不参加も認め、参加出来なかった場合の振替として週に1回までなら追加でストレッチプログラムの実施も認めた

そしてこのストレッチグループと比較対象グループは12週間の研究期間の前後でアンケートを実施し、身体の機能や快活性、メンタル面での健康具合などを自己評価します

このアンケートはSF-36というアメリカで1992年に考案されたもので、一般的な健康や健康面での生活の質を調査するために使われています

SF-36では8つのメイン項目があり、それは

1 Physical Functioning:身体機能

2 Role limitations due to physical problems:身体面の問題による役割・業務の制限

3 Bodily Pain:身体的痛み

4 General Health Perceptions:自身が健康かどうかの認識

5 Vitality:快活性

6 Social Functioning:社会的適合

7 Role limitations due to emotional problems:感情面の問題による役割・業務の制限

8 Mental Health:メンタル面での健康

これら8項目の結果をストレッチプログラム実施前後で比較すると、

・ストレッチグループ内のでは「1 身体機能」、「2 身体面の問題による役割・業務の制限」、「3 身体的痛み」、「5 快活性」、「6 社会的適合 」、「8 メンタル面での健康」の項目で明らかな数値が改善した

・比較対象グループ内ではどの項目も変化なし

・ストレッチグループと比較対象グループのグループ間の数値を比較すると、「1 身体機能」、「3 身体的痛み」、「5 快活性」、「7 感情面の問題による役割・業務の制限」、「8 メンタル面での健康」で明らかに改善していた

これらを統合すると、ストレッチプログラムを行った人は行わなかった人に比べて、身体的な面(身体機能や痛み)だけでなく、メンタル面(快活性やメンタル面の健康など)も改善したと報告しています

この研究の補足としてですが、こういった運動やストレッチプログラムの実施では、今まで全く身体を動かさなかった人が少しでも運動なりストレッチを行えば、多少なりとも変化が出やすくなります

運動などをして0から1になればその変化は感じやすいですが、逆に常に運動をしている人がさらに追加で運動をして10を11にしてもあまり変化は感じられないということはよくあります

変化の量は1で同じですが、0からの1なのか、10からの11なのかで違うという意味です

その点で、この研究ではストレッチグループも比較対象グループもどちらも平均して週に2-3時間はスポーツをしていると回答しているので、どちらも身体を動かす事を全くしていない、「0」の状態だったということはないのかなと思います(どのようなスポーツかなどの記載はありませんでした)

また、この研究では上記の写真にあるような特殊なストレッチ器具を用いて行っています

たまにあるのが、研究でも企業からの資金を得て行う場合があり、そのような場合はその資金提供をした企業の有利となるような結果になるように文章が書かれている可能性もあります

そのようなに資金提供などがあった場合は、文献の最後に"Funding"だったり"Conflicts of Interest”という欄で、資金提供を受けた企業や利益相反する場合の記載が書かれています

今回の研究ではそこには特に特筆すべき資金提供や利益相反の記載はなかったので、その点でも問題はなかったのかなと思います

少し話がそれましたが、この研究では週2回10分間のストレッチプログラムでも従業員の身体面のみならずメンタル面での健康の改善が示唆されました

「仕事では座りっぱなし」

「データ入力で肩が凝る、、、」

などの方はちょっとした時間で、あるいはトイレ休憩の追加で身体を動かすというのも、ご自身の身体と心を守る意味で大事かもしれません

本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました

参照文献

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