Yoshihiko Tsumekawa
2021年7月3日5 分
こんにちわ、Calantスポーツリハビリ&パフォーマンスの爪川慶彦です
私は東京都文京区白山のパーソナルジムCalantで一般の方からアスリートまでのパーソナルトレーニング/スポーツリハビリ/脳振盪リハビリを行っております
このブログを通して私の考えや役に立つ豆知識などを発信しておりますので、是非ご一読ください
本日の記事はこちら↓
コロナ禍以前から「筋力トレーニング」を行う人はある種のブームのように増えており、その年齢も若い人から高齢者まで様々です
特に高齢者の方の「筋トレ人口」はここ10年ほどで非常に多くなったのではないかと思います
とは言っても、私が直接お会いした方の中でも「もう歳だから筋トレなんで出来ない」とおっしゃる高齢者の方もまだまだ多くいらっしゃいます
筋トレが出来ない理由は医学的に禁止されている方もいらっしゃいますし、身体を動かす事が好きでない方もいます
そして「歳だから今更筋トレをしても意味がない」と考えている方もいます
ですので今回の記事では「本当に高齢になったら筋トレをしても意味がないのか?」についてまとめたいと思います
何かいい論文や研究がないかと思い探していたら出てきたのがこちら
この論文ではシステマティックレビューと呼ばれるもので、数多くの研究を精査したうえで1つの事柄に対してどのようなことが言えるのかをまとめたものです
ここでは75歳以上の高齢者を対象とした筋力トレーニング(Resistance Training)の効果を計測した論文を精査し、その結果をまとめています
この研究では最初2,076本もの論文を検索し、そこから研究目的と合致する論文を最終的に22本まで絞り込んでいます
22本のどの論文も75歳以上の高齢者を対象に週に1−3回の筋力トレーニングを8-18週間継続してます
筋力トレーニングの方法は論文によって異なり、ゴムバンドなどを使う場合もあえればマシンエクササイズの論文もあります
これらの論文ではトレーニングの成果を筋力(Strength)、筋のサイズ(Whole-Muscle Hypertrophy)、筋肥大(Muscle Fiber Hypertrophy)、握力(Hand-Grip Strength)で測っています(論文によってどの方法で筋トレの成果を測ったかは違います)
また、握力に関しては今回は統一して向上したとの結果は得られなかったものの、実施した筋力トレーニングの種類によっても結果が影響を受ける可能性があり(例えば下半身を鍛えるトレーニングをしたグループは握力は上がりにくい可能性など)、その点は考慮すべきとしています
システマティックレビューは信頼性の高い論文に分類されるので、そのような論文で「75歳以上の高齢者でも継続してトレーニングを行えば筋力は向上することが出来る」という結論が得られているのは、非常に心強いかと思います
その答えとしていい研究があったのでこちらも簡単に紹介したいと思います
この論文もドイツで行われたもので、43名の運動習慣のない73-91歳の高齢者を運動グループと運動なしグループに分けて、54週後に骨密度や筋量を測定して比較したものです
運動グループは週に2回、高強度の筋力トレーニングを54週間継続して行います(ただし急に高強度のトレーニングはできないので、最初の3ヶ月ほどはトレーニングフォームの習得や身体を慣らしていくことを行っています)
また、トレーニング以外にも両方のグループにホエイプロテインやカルシウム、ビタミンDのサプリメントも提供され、個人別に摂取する量の指示もされています
この論文にはトレーニング内容も詳細に載っているのですが、ここでは割愛します
54週間のトレーニングの前後で「背骨の骨密度」「股関節の骨密度」「骨格筋量」「股関節・膝伸展筋力」の項目が計測されました
そして肝心の骨格筋量の数値は以下となります
運動なしグループは54週後に筋肉量は0.08kg/㎡減少していたのに対し、運動グループでは0.25kg/㎡増加していました
普段の生活だけでは年齢と共に筋量は減りますが、適切な筋トレを行えば1年間で数年分の筋量を取り戻す事が出来た計算となります
増える量も減る量も「たった数%」とお思いかもしれませんが、毎年1%ずつ筋量が減っていけば、10年後には今よりも10%程度の筋量が減ることになります
ただ、この論文を元に単純計算をすれば高齢者であっても10年間で失った筋量は、3年間週2回の筋力トレーニングで取り戻すことが出来ます
今回ご紹介した2つの論文でも示しているように、高齢者でも筋力トレーニングをすればその効果を得ることは出来、そして高齢者とって筋力トレーニングは筋肉量や骨密度の低下を防ぎ、生活の質を維持する為にも極めて重要です
もちろん高齢になれば内科系疾患や関節症などでトレーニングのやり方を工夫する必要もありますが、「トレーニングはやっても意味がない」ということでは決してありません
自力で歩くことが可能な時間を伸ばす、生活の質を維持する、健康寿命を伸ばす
これらの達成にも適切なトレーニングは非常に大事になります
このような事でお悩みやご相談がありましたら、店舗ラインや各種SNS、メール等でいつでもご連絡ください
本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました