Yoshihiko Tsumekawa

2021年7月9日5 分

睡眠不足と肥満リスクについて

自己紹介

こんにちわ、Calantスポーツリハビリ&パフォーマンスの爪川慶彦です

私は東京都文京区白山のパーソナルジムCalantで一般の方からアスリートまでのパーソナルトレーニング/スポーツリハビリ/脳振盪リハビリを行っております
 

このブログを通して私の考えや役に立つ豆知識などを発信しておりますので、是非ご一読ください

本日の記事はこちら↓

睡眠不足と肥満リスクについて

肥満というのはさまざまな疾患になるリスクを増加させます

以前のブログでも書きましたが、厚生労働省によれば日本人が病院に通院する疾患の上位5つは以下の通りです(参照資料)

男性

1位 高血圧症

2位 糖尿病

3位 歯の病気

4位 眼の病気

5位 脂質異常症(高コレステロール血症等)

女性

1位 高血圧症

2位 脂質異常症(高コレステロール血症等)

3位 眼の病気

4位 歯の病気

5位 腰痛症

男女ともに1位の高血圧症、脂質異常症、糖尿病になるリスクは肥満によって高まります(目や歯の病気も肥満が原因の場合もありますね)

それゆえに肥満の解消というのは、個人にとっても社会にとっても(医療費の削減や医療資源の有効活用など)非常に重要な課題です

一般に肥満の解消には食事改善と運動習慣が重要になってきます

ですが、実は質の高い十分な睡眠というのも肥満解消には非常に大切です

ですので今回は下の写真の論文(2011年発表なので少し古いですが)をもとに、睡眠がどう肥満と関わるのかをまとめたいと思います

睡眠時間と肥満リスク

多くの研究で睡眠時間が短いと肥満のリスクが上がる事が報告されています

どのくらいの短い睡眠時間かというと、概ね睡眠時間が6時間未満では肥満のリスクがあがることが報告されています

さらに18の論文、合計604,509名の研究結果では5時間未満の睡眠では肥満のリスクが向上し、5時間未満から睡眠時間が1時間増えるごとにBMIが0.35減っていくこともわかりました

BMIは以下の式で求められます

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

体重が60kgで身長が1.60mの方の場合は、

60kg÷1.60(m)÷1.60(m)=23.4となります

男女ともに同じ計算方法を使います

統計的にはBMIの数値が22前後が一番平均寿命が長いと言われています

一般的にBMIが高ければ肥満傾向と判断されます

上記の研究結果に戻りますが、統計の数値だけ見れば5時間睡眠の方よりも8時間睡眠の方が、このBMIが3時間x0.35=1.05低いということが言えます

また、日本人35,247名(男性90%)を対象とした研究でも、5時間未満の睡眠では最も肥満となるリスクが高く、5-6時間睡眠でも肥満リスクの向上を示す結果が見られました

ただし女性ではこの結果は得られませんでしたが、女性被験者の少なさも男性とは違った結果になった原因の1つと考えられています

また別の日本人の非肥満者を対象とする研究では、短い睡眠時間と肥満のつながりは部分的には食事の好みによっても影響を受けるとしています(脂肪分の多い食事、朝食を食べない、外食が多い、お菓子が多い)

睡眠時間とホルモンの関係

睡眠時間が短くなると食欲を調整するホルモンに影響を与えることがわかっています

グレリンというホルモンは食欲を刺激する作用がありますが、睡眠時間が短くなるとグレリンは上昇します

反対にレプチンというホルモンは食欲を低下させる作用がありますが、睡眠時間が短くなるとレプチンは低下します

通常ではグレリンとレプチンは身体の消費と摂取のバランスに合わせてコントロールされています

睡眠時間の低下によりこのバランスが崩れ、グレリンが上がり、レプチンが下がる、もしくはグレリンが上がり、レプチンは変わらないといような研究結果が報告されています

また、レプチンはエネルギー消費を上げる作用も報告されています

それゆえレプチンの低下は1日の中でのエネルギー消費を下げる可能性も示唆されています(睡眠時間が短くなると日中に眠くなってあまり体を動かさなくなるからエネルギー消費が減るのではないかとも考えられてはいます)

また、睡眠時間が短くなるとブッフェのような食べ放題の条件下では食事の摂取量が増え、さらにその食事は炭水化物を多く摂取するという研究結果もあります

研究の条件や環境を変えると睡眠時間が短い場合にレプチンが上がったと報告する文献もありますが、概ねの研究では睡眠時間の減少に伴いグレリンの上昇とレプチンの低下を報告しています

睡眠と睡眠時無呼吸症候群

睡眠時間や睡眠の質の低下は生活習慣が原因の場合もありますが、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)などのような疾患によって起こる場合もあります

アメリカではOSAは男性24%、女性9%が患っていると推測され、されに重度の肥満の方の場合ではその数値は男性93.6%, 女性73.2%にも上がると言われています

つまり肥満具合が高くなるとOSAとなるリスクも上がります

OSAは睡眠中の完全もしくは部分的な気道の閉塞で、努力的に呼吸をするようになります

これは睡眠中の細かい覚醒、酸素飽和度の低下、慢性的な睡眠不足、交感神経優位につながります

肥満によってOSAが起こるリスクは上がりますが、逆にOSAによって肥満となるリスクも上がることが報告されています

OSAによって日中の眠気が増し、それによって活動量が低下、消費エネルギーの低下に繋がります

またレプチンの効き目を低下させ、グレリンの増加させる研究結果も出ています

最後に

最後に厚生労働省が発表した「健康づくりのための睡眠指針2014」をここに貼り付けています

内容自体は簡易的なものですが、日本人の平均睡眠時間は6時間以上8時間未満とこの資料ではされています

睡眠時間は個人差があるものの、日中に眠気を感じる、寝付きが悪い、睡眠時無呼吸症候群であるなどの心当たりがある方は、生活習慣の改善や医療機関の受診を検討するのがいいかもしれません

「睡眠と肥満」

睡眠は肥満とは関係なさそうですが、肥満改善と健康促進の為には食事・運動と共に大事な要素の一つです

本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました

参照文献

#レプチン

#グレリン

#ホルモン
 
#睡眠時間
 
#睡眠
 
#肥満
 
#体重
 
#ダイエット
 
#食欲
 
#自律神経
 
#運動
 
#食事

#健康

    200
    0